大判例

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大阪地方裁判所 昭和42年(わ)3946号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕(罪となるべき事実)

被告人は、昭和四二年五月五日妻A子と共に自己の友人Bの結婚披露宴に列席し、その後さらに右B方でビールを飲むなどして同日午後一一時頃八尾市大字弓削四三七番地の自宅に帰つたところ、右披露宴後先に帰宅していたA子が、自宅に泊まるよう勧めて伴つて来たBの妹C子(当時一四歳)を同家屋二階六畳の室内北側にある寝台に就寝させ、同女自身は同室入口寄りの畳の上に同寝台と並べて延べられたふとんに就寝していたので、その事情を尋ねるなどA子と二、三言葉を交した後、右A子の傍に入つて情交を求めたが、同女がとり合わないので、「お前いややつたらCちやんとする」といつて、A子がやめるようにと言うのもきき容れず前記寝台に入り、仰向いて寝ていたC子と情交すべく同女の上に乗りかかつたところ、目を覚した同女が夢中で身体をもがいて抵抗したので、酒の勢いもあつて腕づくでも同女を姦淫しようと決意し、「じつとしてんとどつくぞ。」といつて脅迫し、寝台から下りようとする同女を引戻し、同女の手を後へねじるようにしてその身体を押さえつけ、同女が着用していた衣類を引き脱がせる等の暴行を加えて、嫌がる同女の反抗を著るしく困難ならしめたうえ、強いて同女を姦淫したものである。

弁護人は本件姦淫が被害者の同意の下に行われたもので強姦罪は成立しないと主張するので当裁判所のこれに対する判断を述べる。

第一、被害者のC子は同じ会社に勤める兄の同僚である被告人の妻A子に誘われて被告人宅の二階の一室に、泊つたものであり、本件犯行当時、同じ部屋にA子も就寝していたのである。かような状況の下で被害者がその晩おそく帰宅した被告人の自己に対する肉体関係の要求に承諾を与えるとは凡そ考えられないことである。この点に関するC子の公判廷における供述はその大筋において十分信用に値するといわざるを得ない。

第二、次に被害者の妊娠した胎児が果して本件犯行に基づく被告人との肉体関係によるものであるかどうかについては多分の疑が存在する。しかし田中医師の証言がこれを否定する決定的な証拠とは必ずしも考えられないし、仮りに弁護人主張の如く、それが本件犯行後に行われた他の男性との肉体関係に起因するものであるとしても、このことから被害者の本件犯行当時における素行不良等を推論することは論理の飛躍であつて許されない。

第三、被告人の本件行為に対する被害者の抵抗が外見上、それほど強いものでなかつたのではないかという点も若干疑問ではある。しかし、被害者が被告人との肉体関係を嫌がつていたことは明らかであるばかりでなく弁護人も認められる如く被害者は被告人が自分の寝台に入つてきた時は眠つていたのであつて身体に乗りかかられて始めてこれに気付いたというのであるからその当時は夢うつつの精神状態にあつたものと考えられ、被告人の自分に対する行動の性質、その場の状況等を正確に把握し得る程度に明瞭な意識の覚醒に達しておらず、そのため、被告人に対する十分な抵抗を試みる余裕のないままに、姦淫を遂げられたのではないかと推測されるのである。従つて被害者の抵抗が外見上弱いものであつたとしても、強姦の成否に影響を及ぼすものではないと考えるのが相当である。

以上の通りであるから弁護人の主張は理由がない。(原田修 井上隆晴 松本克巳)

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